最新情報NEWS

「質問する前に自分で調べろ!」と言われて

皆さんは,新入社員の頃や新しい職場に異動して仕事の内容が変わったとき,上司に質問したら「自分で調べたのか?」「質問する前に自分で調べろ!」と叱られた経験はありませんか?

私がサラリーマンだった頃,後輩には「分からなかったら,調べている時間がもったいないからすぐに聞いてください」と伝えていました。ただし,「同じことを3回聞いたら,さすがに反省してね」とも付け加えていました。理由は簡単で,その方が効率的に仕事が進み,組織全体の生産性も上がるからです。

しかし,私が若かった時代は違いました。軽い気持ちで上司に質問すれば,「自分で調べたのか?」と叱責され,「自分で調べる意欲がない」「やる気が感じられない」と評価を下げられることも珍しくありませんでした。

当時は「自分で調べろ」の一言で,些細な疑問が丸一日の迷走に繋がることも珍しくありませんでした。夜遅くまでサービス残業し,休日出勤して過去の資料を読み漁る新人の姿が「感心すべき努力」と美化される時代でした。昭和の時代が残る、平成の初めの頃,ワタシがお世話になった会社だけではなくおそらく日本中の会社がそのような感じだったと思います。

新天地で予備知識ゼロの状態に置かれた時,すべてが未知の領域に感じられました。カオスの中で「自分で調べろ」と突き放され,情報の海に溺れそうになった孤独感は,今でも胸に突き刺さっています。今のようにインターネットで即座に答えが見つかる環境とは隔世の感があります。

60歳で新しい仕事を始め,再び未知の世界に飛び込みました。分からないことだらけですが,ありがたいことに,この世界には「何でも聞きにいらっしゃい」と言ってくださる先輩がおられます。自分の知らない業務について,惜しみなく教えてくださる方々がいるのは本当に心強いことです。

もちろん,プロですから,単なる「教えてください」という丸投げはできません。自分で調べられる範囲は徹底的に勉強し,質問の核心を明確にすることが最低限の礼儀。それでも,困った時に「教えてあげるよ」と手を差し伸べてくださる先輩がいることはありがたく,心から感謝しています。

いつかは「教わる側」から「教える側」へまわりたい。この世界で信頼されるプロフェッショナルになるため,日々研鑽を重ねる毎日です。いつか後輩から「○○について教えてください」と言われる日を目指して頑張ります。

PAGE TOP