海事代理士試験に挑む
以前も書きましたが,ワタシは,東北電力で,長年,火力発電所で使用する石油,石炭,LNGを購入する仕事をしていましたが,これらの燃料のほとんどは外国から船で発電所まで運ばれて来るので,港や船舶の知識が必要となります。また,行政書士試験の受験勉強をしていたので,海事代理士試験で科される法令科目のうち憲法,民法,商法は行政書士試験で学習済み(そう思っていたら,行政書士と海事代理士では商法の出題範囲が全く違いました。調査不足です)なので,多少シナジーもあるのではないかと考え,受験を決めました。受験を決めたのは,令和4年の4月頃。行政書士試験挑戦2年目の慌ただしい時期でした。
海事代理士試験の参考書としては,日本海事代理士会が監修している「海事代理士合格マニュアル」と海事代理士試験研究センター(Real)が発行している「海事代理士合格六法」と「海事代理士厳選過去問題集」の2種類があり,どちらも買い求め,比較して中身が充実している(と言うか過去問の収録数が多い)後者を使って受験勉強を開始しました。ところが時が経つにつれ,行政書士試験の受験勉強が忙しくなり,このままでは「二兎追うものは一兎をも得ず」の状態が危惧されるようになってしまいました。もともと,複数のことを並行して仕上げる,いわゆる「マルチタスク」が苦手なワタシには「行政書士試験」「海事代理士試験」の「二刀流」を継続することは,そもそも無理だったのです。かくして,一度目の「海事代理士試験」への挑戦は「商法(海商法)」と「国土交通省設置法」の学習をしたところで断念することとなってしまいました。自分の能力を過信した挙げ句のなれの果てで、情けない話でしたが,やはり,これまで積み上げてきた行政書士試験を優先することにしました。
とはいえ,すでに試験への出願は行っており,せっかく受験料も払ったので試験だけは「記念受験」というか,翌年に向けての視察的な意味合いで受験することにしました。
試験は令和4年9月27日。この日は凶弾に倒れた安倍晋三元総理大臣の国葬の日でした。試験会場である東北運輸局には弔意を示す半旗が掲げられ,ワタシも心の中で手を合わせ試験に臨みました。東北で受験したのは20名弱。マイナーな試験です。試験は法令20科目を4つに分けて4~6科目ごとに行われます。1時間目は憲法,民法,商法,国土交通省設置法の4科目。憲法と民法に全力を注ぎました。
残りの18科目は手も足も出ません。記号や○×で答える問題については,「あてずっぽう」で解答しましたが,それ以外は何もできません。あっという間に試験が終了しました。
海事代理士試験は資格試験としては珍しく,試験終了後に「模範解答集」を配布してくれます。大抵のメジャーな資格試験は主催団体が配布せずとも,多くの資格予備校が模範解答を作成し,宣伝のために配布してくれますが,海事代理士試験はそうはいかないのです。受験者が1000人にも満たないこの試験はそうせざるを得ないのですね。
憲法と民法は自己採点をしました。憲法は10点満点中10点と満点が取れ,民法も10点満点中9点が取れました。行政書士試験準備が佳境を迎えるこの時期,両科目については順調に仕上がっていることがわかりました。一ヶ月後の合格発表は当然不合格。ワタシの海事代理士試験の第一回目の受験は,ほぼ敵前逃亡の形で幕を閉じました。本当に情けないことだと思いました。

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