行政書士なんかに頼んだらいくらとられるかわかったもんじゃない!
ある日の相談会に訪れたお客さんに,相続全般にかかる手続き(相続人調べから,相続人の確定,遺産分割協議書の作成など)について尋ねられました。要望に応じ,手順を説明しましたが,複雑な話なので,「これは,結構手間がかかる手続きですから,行政書士に依頼した方がよろしいのではないですか」とワタシが話すと,お客さまが発したのが「行政書士なんかに頼んだらいくらとられるかわかったもんじゃない!」という言葉でした。行政書士の無料相談会の場で「行政書士なんかに」とは「ずいぶんなご挨拶だね」とは思いましたが,事情を聞くと,前回の相続の時に行政書士に頼んだら「○○円も取られた!」ということだったのです。お客さまの話が本当なら,「ちょっとそれはもらいすぎだな」とは思いましたが,細かい状況はわからないので一概には言えません。まあ,その日は「無料相談会」なので,お客さまに,必要な手続きを丁寧に説明し,時間が過ぎました。
いきなり,あのようなことを言われて驚きましたが,これは,おそらく多くの方が考えていることなのかとも思います。もともと日本人は形のないものにお金を払うことに抵抗感のある国民だと言われていますし、ワタシも行政書士になる前は同じ事を考えていました。
行政書士は,お客さまと接する事務所には「報酬額表」を掲示することが義務付けられていますが,それとて「○○業務:30,000~」といった感じで最低額が掲示されていることが多く,お客さまの不安を払拭するには至らないことが多いと思います。
ワタシはお客さまから業務を受任するときは,事前に報酬をお見積もりし,見積もりの考え方を説明し,納得いただくことにしています。受任したあとに想定される不確定要素がある場合には,そちらについてもあらかじめ説明します。アクシデントがなければ,基本的には明朗会計を目指します。
ワタシが報酬を算定するときは,基本的には業務に要する作業工程の積み上げによって計算します。自分の1時間あたりの報酬に必要な所要時間をかけ合わせ算定するという考えです。もちろん,各業務の報酬には「相場」というものがありますので,単純に「時給×作業時間」とはなりませんが,大まかに算定すると,大体,各業務の相場に収斂することが多く,自分でも納得感を持って仕事を行うことが出来ますし,お客さまにも自信を持って提示することができます。
最近は何か仕事を頼むとき複数の事業者に相見積もりをかけ,一番安い見積もりを出した業者を選べるようなアプリもあり,行政書士で参入されている方もおられますが,各行政書士の業務の得意,不得意があるし,それは,当然業務の質に反映されます。それを考慮しない単純な相見積もりは,委任者,受任者双方に不幸な話だと感じます。業務に対する報酬には,もちろん相場観は必要ですが,「安ければ良い」というモノではなく、委任者、受任者双方が納得できる適正価格というモノがあります。「少しまけてよ」と言われたとき,その場のノリで端数程度の金額を値引きさせていただくことはありますが,「○○事務所では××円と言われた」といった,いわゆる相見積もりの値引き交渉につきましては,当事務所では,お断りしております。「当方のお見積もりがご不満でしたら,納得できる方(=安い方)に委任してください」というのが当事務所の報酬に対するスタンスです。当事務所では,業務の質や,相互の信頼関係のない、報酬額にのみ注目した,ダンピング競争になりがちなナンバーズゲームに参加するつもりはないのです。

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