初めて見る漢字が教えてくれる,土地の歴史
農地転用や相続の仕事をしていると,普段の生活ではまず目にすることのない人名や地名に出会います。
以前,このブログでも「弁当二番」という地名をご紹介しました。また,今でも石油が採れる秋田県には,「油田(あぶらでん)」という地名があります。
行政書士の仕事は,書類を作る仕事というイメージが強いかもしれません。しかし実際には,戸籍や公図,登記簿など,古い資料を読み解く機会が少なくありません。そのため,昔使われていた漢字や難読地名に出会うこともしばしばあります。
先日も,仕事をしていて「梍」という漢字に出会いました。
皆さんは読めますか。
ワタシはまったく読めませんでした。
辞書を調べ,インターネットでも検索し,あれこれ試してみましたが,なかなか答えにたどり着きません。最後は,手書きで漢字を書いて画像として読み取ってもらい,ようやく「そう」「さいかち」と読むことが分かりました。
「梍」は,サイカチという植物を表す漢字です。サイカチの実には天然の界面活性作用があり,昔は石けんの代わりとして洗濯などに利用されていたそうです。
今回出会った「梍」は,宮城県内のある地名でした。その由来までは分かりませんでしたが,かつてこの地域にサイカチの木が多く生えていたのかもしれません。あるいは,かつて洗濯場だったとか,人々の暮らしと深く関わる場所だったのかもしれません。
そんなことを想像しながら資料を眺めていると,一つの漢字の向こう側に,その土地の歴史や昔の人々の暮らしが見えてくるような気がします。
もちろん,仕事では読めない漢字のまま放っておくわけにはいきません。紙の資料しかない場合には,自分で漢字を書いて調べなければならないこともあります。そのたびに,「また珍しい字に出会ってしまった」と苦笑いすることもあります。
それでも,知らなかった漢字を一つ覚え,その土地の由来を知ることができるのは,この仕事ならではの楽しみです。
行政書士の仕事は,単に書類を作るだけではありません。一文字の漢字に込められた歴史を読み解き,その意味を正しく理解したうえで手続きを進めることも,大切な仕事の一つです。
だから今日も,読めない漢字に出会うたびに,「また一つ勉強になった」と思いながら,辞書を開いています。

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