「抜け道」のその先にあるもの
2026年5月6日朝,福島県郡山市の磐越自動車道上り線で,新潟県の北越高等学校男子ソフトテニス部の生徒らを乗せたマイクロバスがガードレール等に衝突し,高校生1人が亡くなり,多数の方が重軽傷を負うという痛ましい事故が発生しました。
将来ある若い命が失われたことに,大きな衝撃を受けています。
まずは,お亡くなりになられた生徒さんのご冥福を心よりお祈りするとともに,負傷された皆さまの一日も早い回復を願うばかりです。
報道によれば,今回の運行形態をめぐって,学校側と運行会社側の説明に食い違いが生じているようです。
学校側は,「貸切バスとして依頼したのであり,レンタカーを依頼した認識はない」と説明している一方で,運行会社側は,「貸切バスではなく,レンタカーを利用して送迎したいという話があり,レンタカーの手配と運転者の紹介を行った」と説明しているとのことです。
さらに,県内の他校関係者からも,「レンタカーに外部運転手という形態は異例ではないか」という声が上がっているとも報じられています。
もちろん,現時点では事実関係の詳細は明らかになっておらず,軽々しい断定は慎むべきでしょう。しかし,もし仮に,安全確保のために定められた制度や規制を潜脱するような運用が行われていたのだとすれば,極めて重大な問題だと思います。
旅客を安全に運送するという行為には,本来,非常に重い責任が伴います。それは船舶でも,自動車でも同じです。
安全運行のためには,運転者の管理,車両整備,運行体制,保険,労務管理など,さまざまな基準が求められます。そして,それらを維持するためには当然コストがかかる。そのコストも含めて,本来の「運賃」というものが成り立っているのだと思います。
もし,そこを安易に省略したり,「少し形を変えれば問題ない」という発想で制度の外側を通ろうとすれば,そのしわ寄せは,最終的に安全性へ向かいます。
先日,同志社国際高等学校の女子生徒が市民活動家が操船する船舶が転覆し亡くなられた件でも,安全管理体制の不備が指摘されていました。今回の事故も含め,近年,「法律を軽視し,安全がないがしろにされていなかったか」と感じられる事案が続いていることに,強い危機感を覚えます。
法律というのは,単に形式的なルールの集まりではありません。
その背後には,過去の事故や失敗,そして多くの犠牲の上に積み重ねられてきた「背景」があります。ですから,「法律に明確には書いていないから大丈夫」とか,「形式上は問題ない」という考え方だけでは,本当に大切なものを見失ってしまうのではないでしょうか。
これは,行政書士の仕事にも通じる話だと思っています。
ワタシたちは,お客さまから委任を受け,その意向に沿って手続きを進める仕事をしています。ですから,制度の中で最大限お客さまの利益を実現できるよう知恵を絞ることは当然必要です。しかし一方で,制度の基本的な精神を無視したり,抜け道を探したり,不正な手続きを助長するようなことは,決してあってはならないと思っています。
法律には,「守るべき理由」があります。このことを忘れず,これからも制度の趣旨を踏まえながら,正面から誠実に仕事へ向き合っていきたいと思います。

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