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今この瞬間の意欲に寄り添う — 仕切り直しの手続きを支える仕事

最近人気のYouTube番組に「WakatteTV」というものがあります。2人の出演者が学歴をあれこれとネタにして笑いを取る番組で,正直なところ「表現が少しキツいかな」と感じる場面もありますが,シンプルで露骨なやり取りが若い世代の心に響くのか,かなりの人気を集めているようです。

先日,その番組のある回を見ていて,ふと昔の仕事を思い出しました。ワタシが経済企画庁(当時)に出向していた頃,「大学の役に立つ授業への取り組み」を調査する仕事を担当したことがあります。経済学部や法学部で,従来の学問的な講義だけでなく,「簿記2級講座」や「公務員試験対策」など,資格取得を視野に入れた実践的教育にどのように取り組んでいるかを調べるというものでした。

今でこそ,有名大学でも資格取得や就職支援に力を入れるのは当たり前ですが,30年前は状況が大きく異なっていました。特に旧帝大など伝統ある大学では,「大学は崇高な学問の府である」という意識が強く,資格教育については「それは各自でご自由にどうぞ」という雰囲気が少なくありませんでした。

一方で,新興大学や地方私大では,当時から学生に「役に立つ学び」を提供しようという機運が強く,公務員試験対策や資格講座など,より実践的な取り組みが見られました。

その調査の中で,とある地方の私立大学を訪問した際のことです。同じ街に旧帝国大学があり,知名度や難易度ではどうしても比較されてしまう大学でしたが,それでも学生に多くの学びの機会を提供しようと努力している,前向きな大学でした。

取材の最後,学部長の教授が静かに,しかし毅然とした口調でこうおっしゃいました。

おそらく東京の中央官庁で働いている皆さんの中には,本学の卒業生はほとんどいないと思います。本学はそういう大学です

「しかし,本学にも,大学に入ってから『学びたい』という思いを抱く学生がいます

学び始める時期が遅かったとしても,その思いに応える教育を提供することには,大きな意義があると考えています

4年間で大きく成長する学生もいます。今年は私の研究室から,○○大学(地元の旧帝国大学)の大学院に進学した学生もいましたこういう学生が一人でも生まれるのなら,本学にも十分に存在意義があると思います

そして最後に,こう結ばれました。

学びを始めるのに,遅すぎるということはありません。本学は,そういった学生に寄り添い手を差し伸べたいのです

ワタシはその言葉を聞き,僭越ながら「立派な先生だな」と感じました。大学の序列ではなく,「今この瞬間の意欲」を尊ぶ姿勢。あの先生の誇りと温かさは,今でもワタシの心に鮮烈に残っています。

人生も同じだと思います。若い頃の選択に満足できなかったり,思い通りに進まなかったり,失敗や後悔を抱えることは誰にでもあります。けれど,「ここからもう一度やり直したい」「新しい道に挑戦したい」と考える瞬間があります。その決意をしたときこそ,再出発のスタートラインなのだと,ワタシはあの先生の言葉を思い出しながら感じています。ワタシ自身も,サラリーマンから行政書士への転身という「仕切り直し」を経験いたしました。

行政書士として仕事をしていると,まさに「仕切り直しの場面」に立ち会うことが少なくありません。

新しく会社を設立して第二のキャリアに挑戦される方。

長年の経験を活かして独立を決意される方。

相続や家族の出来事をきっかけに,これからの暮らしを見直す方。

それぞれの方の書類の一枚一枚に,「ここから,もう一度」という想いが込められているのを感じます。手続きは単なる事務作業ではなく,その方の人生の節目を後押しする大切なプロセスです。だからこそ,ワタシはそういった「仕切り直し」にも寄り添う行政書士でありたいと思っています。

学び直すのに,遅すぎることはない。

挑戦を始めるのに,遅すぎることもない。

あの大学教授の言葉は,いまでもワタシの心に強い印象として残っています。そして,人生の仕切り直しに挑む皆さまの背中を,少しでもそっと押せる存在でありたい――そんな思いで,日々の業務に取り組んでいます。

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