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試験の知識と実務の知恵

11月9日に令和7年度の行政書士試験が行われました。試験日の夜には予備校各社の解答速報が飛び交い,まるでお祭りのような熱気でした。そして数日が経つと,「受かった」「落ちた」といった受験生のみなさんの悲喜こもごもの声が聞こえてきます。毎年のことですが,受験生の皆様,大変お疲れ様でした。

その様子に触れるたび,ワタシは3年前――令和4年度の本試験の自分を思い出します。定年までの時間を逆算し,「今回が時間的にギリギリだ」と腹を括って臨んだ挑戦でした。これほど必死になったことはないと言えるほど勉強し,合格を知った時には,まるで雲の上にフワフワ浮いているような幸福感でした。安堵のなかで飲んだお酒の味も格別で,今でも鮮明に思い出します。

さて,今週,17日に今年度の本試験問題が公表されました。ざっと目を通しましたが……率直に言って難しい。あれほど勉強したワタシでも,わずか3年で歯が立たない難しい問題がたくさん出てきています。

もっとも,これは大学入試のときも同じでしたが,試験というものは「いかに本番の日にピークを持っていくか」がすべてなのだと思います。試験問題は受験生を“間違えさせる”ために工夫して作られます。あえて難しい表現を使ったり,引っかけを仕込んだり,重箱の隅をつつくような細部を突いたり……。ああいった試験は,限られた時期に,特別な訓練を積んだからこそ解けたのだと,今になって実感します。そういう意味で,毎年この試験に向き合い受験生を導く予備校の先生方には,本当に頭が下がります。ワタシには絶対に無理ですね。

ただ,あの時の勉強が全く無駄だったとは思いません。憲法,民法,商法,行政関係各法……それぞれの法律の大きな枠組みや考え方は,受験勉強を通じてワタシの中に残っていると思います。

そして,ここからが大切なところです。試験と実務は,共に条文に基づいて行うものなのにまったく違うものです。

実務では,特定の頻繁に使う条文以外は,全てを暗記する必要はありません。必要なことは,専門書を開けばいい。インターネットで確認すればいい。AIの助けを借りてもよいのです。
大切なのは,――全体像をつかみ,大きな法律の考え方に則り,判断する力があることなのです。逆に,細部にばかり目を奪われると,かえって全体が見えなくなりがちです。
ワタシの仕事は,お客さまの悩みの全体像を捉え,必要な手続や選択肢を見極め,お客さまにとって最も良い解決策を示すことです。

試験で鍛えた知識は,実務の経験を積むにつれて「知恵の加わった生きた知識」に変えてゆくことができます。これからも枝葉末節にとらわれず,大きな流れを見極めながら,お客さまファーストで仕事に向き合っていきたい――そう改めて感じています。

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