本の処分 ― 本棚の隙間に見えた新しい風景 ―
ワタシは昔から本が好きです。その結果,家の中はいつの間にか本だらけになってしまいました。ワタシの本に加えて妻の本もあるので,いったい本棚がいくつあるのか。本の重みで床が抜けるのではと心配になるほどの量になってしまいました。
今の地に家を建てたのが2002年のこと。その後,東日本大震災をはじめ,何度も大きな地震に遭いました。そのたびに,本棚はすべて倒れ,床いっぱいに本が散乱しました。ため息をつきながら,一冊ずつ拾い集めて棚に戻したことを今でも覚えています。
不思議なことに,本というのは,どうしても捨てることができません。読んだ本の一冊一冊に,ワタシの読後の感想を聞いてくれた小さな妖精でも住んでいるような気がして,まるで自分の分身のように感じてしまいます。40年近く前,大学時代に使った経済学の教科書まで,いまだに本棚の隅に鎮座している始末です。
さすがにこのままではいけないと思い,ここ数年は務めて電子書籍を中心に購入するようにしています。それでも書庫の一部屋が本で埋まっている現状を,どうにかしなければならないと感じていました。
そんな折,近所の市民センターで偶然,知り合った民生委員の方が,本を探しているとおっしゃいました。その方は,家庭で読まなくなった本を集め,障がいのある方の作業所で補修・販売しているのだそうです。古い本でもマンガでもOKとのこと。ワタシはこれを「本格的な整理のチャンス」と受け取り,こちらの施設に本を差し上げることで,思い切って家の本を処分することにしました。
処分の基準はシンプルです。「この1年,一度も手に取らなかった本」。ただし,思い入れのある本や宝物のような本は除外しました。特にマンガは,9割近くを手放すことにしました。あまりに古くて汚れが目立つ本は避けましたが,小説など内容が古びてないものはすべて対象にしました。「もし処分してから読みたくなったらどうしよう」という不安もありましたが,そのときは「電子版にしてまた買えばいい」と自分に言い聞かせました。
こうして,初回の整理では段ボール5箱分を選び出しました。最初のうちは「どうしよう」と迷っていましたが,「ワタシの本棚で眠るより,誰かの手に渡って再び読まれるほうが本も幸せだ」と思うと,迷いは次第に消えていきました。
たしかに,これくらいでは家の本はまだまだ減りません。それでも,本棚に少し隙間ができると,不思議と心にも風が通ったような気がしました。
お渡しした本が,差し上げた施設として役に立つものなのかはわかりません。けれども,もし今後も受け取っていただけるのなら,もう少し思い切って,本格的に本の整理をしてみようと思っています。本の処分とは,単にモノを減らすことではなく,過去と今の自分を整理することなのかもしれません。スキマのできた本棚を見て,人生,ここから再スタートというような新たな気持ちになりました。

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