「全路線赤字」の先にあるもの——仙台市営バスについて考える
昨日,仙台市地下鉄についての不満を書かせていただいたところ,非常に多くの方に読んでいただくことができました。やはり,公共交通に対する関心は高いのだなあと感じております。そこで今日は,同じく地元の公共交通機関である仙台市営バスについて,ワタシなりに考えていることを書かせていただこうと思います。
先日,令和6年度決算において,仙台市営バスが「全路線赤字」であるという衝撃的なニュースが報じられました。報道によれば,仙台市営バスは全路線平均で,100円の収益を上げるために164円の費用がかかっているとのことです。全体の赤字額は約39億円。これは仙台市の一般会計の0.5%に相当する金額であり,なかなかインパクトのある数字です。
背景には,利用者数の大幅な減少があります。1980年には年間利用者数が1億1千万人を超えていたそうですが,近年では3500万人を下回っているとのこと。少子高齢化による人口減少,自家用車の普及,ライフスタイルの変化など,様々な要因が重なっているのでしょう。
とはいえ,市営バスのような公共交通機関は,単なる「移動手段」ではありません。運転免許を持たない年少者や高齢者にとっては,生活そのものを支えるインフラです。病院へ通う,学校へ通う,買い物へ行く。その当たり前の日常を支えているのが路線バスです。
だからこそ,「赤字だから廃止する」という単純な話にはならないのだと思います。
ワタシは,「全路線赤字」という現実は,もはや路線バス事業が純粋な営利事業としては構造的に成立しにくくなっていることを示しているのではないかと感じています。つまり,これからの路線バスは,利益だけを追求するのではなく,「公共性」や「福祉」の側面を重視して維持していく必要があるのではないでしょうか。
もちろん,無限に赤字を許容できるわけではありません。しかし,採算が取れないからといって簡単に路線を切り捨てることは,結果として交通弱者の切り捨てにつながります。ある程度の路線維持は,都市として必要なコストなのだと思います。
現在の仙台市の人口は約106万人。単純計算ですが,39億円を106万人で割ると,市民一人あたり年間約3700円程度になります。もちろん,財政というものはそんな単純な話ではありませんが,市民の移動手段を守るための費用として考えれば,ワタシは決して過大な負担ではないように感じます。
もっとも,「維持するから現状のままで良い」という話ではありません。徹底した効率化を図ること,路線維持と並行して,乗客を増やすための努力や工夫は必要だと思います。
ワタシの家の前も仙台市バスが走っていますが,地下鉄ターミナル同士を結ぶ主要路線でありながら,平日は30分に1本,土曜・休日に至っては1時間に1本しか来ません。正直なところ,これでは「なるべく乗らないでください」と言われているような感覚すらあります。
例えば,車両を小型化して本数を増やし,利便性を高める。並行して走っている宮城交通と発車時間を調整し,無駄な競合を避ける。あるいは,利用者を増やすため,休日向けの割引施策を充実させる。そうした知恵や工夫の積み重ねで,少しでも利用者を取り戻していく必要があるのではないでしょうか。
合理性だけでは割り切れないけれど,社会にとって必要なものがある。
それは,行政書士の仕事にも少し似ている気がします。採算だけを考えれば効率の悪い案件もあります。しかし,誰かの生活や権利を支えるために,必要だから存在している仕事もあるのです。
公共交通もまた,「利益」だけでは測れない社会のインフラなのだと思います。

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