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「便利になりました」の裏側で

昨日,地下鉄に乗っていて,久しぶりに腹の立つ出来事がありました。

仙台市には,南北線と東西線という2本の地下鉄が走っています。南北線は1987年に開業し,泉中央駅から富沢駅まで14.8キロ,17駅。東西線は2015年に開業し,八木山動物公園駅から荒井駅まで13.9キロ,13駅です。

ワタシの自宅兼事務所は八木山動物公園駅から約1キロほどの場所にあります。徒歩で15分程度。東西線が開業してからというもの,市中心部への移動は飛躍的に便利になりました。正直,「地下鉄ができて本当に助かった」と感じる場面は少なくありません。

地下鉄を利用する際には,切符を買うかICカードを使います。

全国的に有名なSuicaも利用できますし,仙台市交通局独自の「icsca」も発行されています。

そして最近,「クレジットカードのタッチ決済で地下鉄に乗れます」という宣伝を大々的に見かけるようになりました。改札機にもそれらしい端末が設置され,「おお,仙台市もだいぶ便利になったな」と感心していたのです。

昨日,ワタシは普段使っているICカードをうっかり自宅に忘れてしまいました。

そこで,「そういえばクレジットカード決済が使えるのだった」と思い出し,八木山動物公園駅の改札でクレジットカードをタッチ。問題なく通過できました。ここまでは良かったのです。

仙台駅で南北線に乗り換え,勾当台公園駅で降りようとしたところ,改札にカードリーダーがありません。

「あれ?」と思い駅員さんに聞いてみると,返ってきた答えは,

南北線はクレジットカード利用に対応しておりません

というものでした。

一瞬,意味が分かりませんでした。

つまり現在の仙台市地下鉄では,「東西線だけ」クレジットカードのタッチ決済に対応しているのです。

しかも,東西線と南北線をまたいで利用した場合には,その決済が成立しない。

これは,さすがに利用者目線が欠けていると言わざるを得ません。

もし両路線が完全に独立した路線で,相互乗り換えがないなら,まだ理解できます。しかし,仙台市地下鉄は「乗り換え自由」を前提に一体運用されている交通機関です。その環境で,「こちらの路線では使えますが,乗り換えた先では使えません」という運用を始める感覚が,ワタシにはどうしても理解できませんでした。

しかも驚いたのは,その重要な制約条件がほとんど周知されていないことです。

駅構内でも,車内でも,「東西線と南北線をまたぐ利用ではクレジットカード決済ができません」という説明をワタシはほとんど見かけませんでした。

「利用できます」という華やかな宣伝ばかりが先行し,「どういう場合に使えないのか」という肝心な説明が後回しになっている。

久しぶりに,典型的な「お役所仕事」を見た気がしました。

制度を作った側としては,「東西線でクレジット決済を導入した」という実績をPRしたいのでしょう。しかし利用者から見れば,「地下鉄で使えると思ったのに,途中で使えなかった」という結果がすべてです。

制度というものは,往々にしてこういう落とし穴があります。

一見すると便利そうに見えて,実際には細かな制約条件だらけ。ところが,その制約条件ほど分かりにくい場所に押し込められているのです。

法律や行政手続も同じです。

「できます」と書いてあっても,実際には例外規定や条件が山ほどある。

しかも,本当に重要な部分ほど小さく書かれていることが少なくありません。

だからこそワタシは,行政書士として,制度の“入口”だけでなく,“出口”まで確認することを大切にしています。

お客さまが最後になって「そんな話は聞いていない」と困ることのないよう,全体像と制約条件を丁寧に説明する。それが専門家の役割だと思っています。

今回の地下鉄の件は,単なる交通トラブルというより,「制度は利用者目線で作らなければ意味がない」ということを改めて感じさせる出来事でした。

便利さというのは,「導入した」と発表することで生まれるのではありません。最後まで,誰でも迷わず使えて,初めて「便利になった」と言えるのだと,仙台市交通局にはぜひ考えていただきたいものだと思いました。

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