団地に広がる終活の輪――地域に向き合う行政書士の役割
この間の日曜日,ワタシの住む町内会で年次総会が開催され,終了後にワタシが講師を務める終活に関する簡単なセミナーを行いました。
ワタシの住む住宅団地は,昭和40年頃に開発された地域で,かつてはワタシの親世代の方々が多く暮らしていました。しかし現在では高齢化が進み,家を引き払われて空き家となったり,建物が取り壊されて新しい住宅が建てられたりと,静かに世代交代が進んでいます。そうした中で,将来に対する不安を抱える方が少なくないことは,日々の会話の中で感じていました。
「終活をしたいけれど,何から始めればよいのか分からない」「遺言を書きたいが書き方が分からない」「認知症になったら自分はどうなるのか」。高齢の方の関心が高いこのようなテーマで「終活セミナーをやりましょうか」と町内会長に軽い気持ちでお話ししたところ,「ぜひお願いしたい」とのことで,今回の開催に至りました。
セミナーは約30分という比較的短い時間の中で,①エンディングノートとは何か,②遺言の書き方,③相続に備えて,④成年後見と任意後見という四つのテーマについて,概要を駆け足でご説明する内容としました。事前に町内会で丁寧に告知していただいたこともあり,通常より多くの方にご参加いただくことができました。
簡単な自己紹介の後,資料をもとにお話ししましたが,皆さま非常に真剣に耳を傾けてくださり,終了後の質疑応答でも多くのご質問をいただきました。終活というテーマに対する関心の高さと,同時に具体的な情報を求めている現状を,あらためて実感しました。
今回のセミナーはあくまで概要のご紹介にとどめたものです。今後,ご要望があれば,「エンディングノートと遺言」「相続を争族にしないために」「認知症に備えて――みまもりから任意後見,成年後見へ」といったテーマごとに,より踏み込んだ内容のセミナーも開催していきたいと考えており,その旨もお伝えしました。。
一般にこのようなセミナーはボランティアの側面がありつつも,営業活動の一環として行われることが多いのですが,ワタシはこのようなセミナーが,すぐに業務の受任につながるとは考えておりません。無料相談やセミナーは「無料だからこそ参加しやすい」ものであり,そこから実際に費用を支払って依頼する決断に至るまでには,大きな心理的ハードルがあります。また,相続や遺言といった家庭内の事情は極めてプライベートなものであり,近所の人間に相談することに抵抗を感じる方も少なくありません。さらに,見守りや任意後見といった分野では,依頼者が女性である場合,男性の専門職に対して心理的な距離を感じるケースも現実として存在します。
そのため,セミナーや相談の場では,こうした事情についても率直にお話しし,もしワタシへの依頼に抵抗がある場合には,地域外の行政書士や女性の行政書士をご紹介することもお伝えしています。
ワタシにとって,これらの活動は単なる営業ではなく,地域へのささやかな貢献です。そして,「情けは人のためならず」という言葉のとおり,巡り巡って自分自身の学びや成長につながるものでもあると感じています。実際,今回のセミナーもまた,多くの気づきを得る貴重な機会となりました。
終活は,いざという時のための準備であると同時に,これからの人生を安心して生きるための土台づくりでもあります。そしてそのお手伝いをするのが,ワタシたち行政書士の役割の一つです。
目の前のご縁に誠実に向き合い,必要とされるときに,適切な形で支えること。派手さはありませんが,それこそが地域に根ざす行政書士の仕事なのだと,あらためて感じた一日となりました。

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