ひな壇の風景に、新しい灯りがともる
ワタシの家は、傾斜地の「南下がりのひな壇」にあります。庭を挟んで一段低い位置にお隣があり、視線や日当たりの変化を日々感じながら暮らしています。そのお隣は数年前から空き家となり、やがて解体されて更地になりました。見通しが良くなったのはいいのですが、向こう側の道路からワタシの家が丸見えになってしまい、どこか落ち着かない日々が続いていました。ですから、新しい住民が決まり、家が建つと聞いたときには、正直ほっとしたものです。
新しい家は、こだわりの建築士さんが設計したものだそうで、着工前には施主さんとともに丁寧なご挨拶に来られました。その一言一言に誠実さがにじみ、これから始まる工事にも安心感を覚えました。ワタシの家からは現場がよく見えるのですが、基礎工事からして実に堅牢で、その後も丁寧な作業が続いていました。一般的な建売住宅よりも明らかに時間がかかっており、「いったいどんな家ができるのだろう」と楽しみにしていたところ、ホームページで「新築見学会」の案内を見つけました。これは願ってもない機会です。
当日、現地を訪れると、施主さんご夫婦が温かく迎えてくださいました。ワタシとは親子ほど年の離れた、感じの良い若いご夫婦です。小さなお子さんが二人、新しい家に胸を弾ませて走り回る姿がとても微笑ましく、家そのものの魅力に加えて、暮らしの気配まで感じさせてくれました。
家の中に入ると、まず無垢材のやわらかな質感が目に入ります。自然のぬくもりに包まれた空間は、思わず深呼吸したくなるような心地よさです。同時に「これはなかなか立派なお値段だろうな」と現実的な思いも頭をよぎります。リビングは吹き抜けで開放感があり、南向きの傾斜地という立地を活かして、日差しがたっぷり差し込みます。キッチンや浴室には最新の設備が整い、「新しい家っていいものだなあ」と、ワタシが自宅を建てた20年以上前の記憶がふとよみがえりました。
二階には、ご夫婦のお部屋と、二つの子ども部屋がありました。これからここで積み重ねられていく家族の時間を想像すると、なんとも温かい気持ちになります。ふと北側の子ども部屋の窓に目をやると、そこからはワタシの家の庭がよく見えます。「ときどきここでお酒を飲んでいたりしますが、どうか見逃してください」と軽く予防線を張っておきました。笑って受け止めてくださり、少し距離が縮まった気がしました。
ワタシの住む団地は高齢化が進み、小さな子どもがいる家庭は決して多くありません。そんな中で若いご家族が加わることは、地域にとっても大きな喜びです。町内会の行事も、少しはにぎやかになるかもしれません。ひな壇の風景に、新しい灯りがともったような、そんな明るい気持ちになりました。

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