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「おひとりさま」を支える仕事のやりがい——生前事務委任の現場から

早いもので4月に入り,「おひとりさま」の面会に行ってきました。ワタシは,長期入院されている「おひとりさま」の生活のお手伝いをしているのですが,月が明けると,できるだけ早い時期に面会に伺うようにしています。

ワタシが生活のお手伝いをしているその方は,もともとお体が不自由だったところに,これまで身の回りのお世話をされていたご主人が亡くなられ,日常生活を支えてくれる方がいなくなってしまいました。周囲のご親戚も皆さまご高齢で,結果としてワタシにお声がかかり,お手伝いをさせていただくことになりました。

このような仕事は「生前事務委任契約」と呼ばれるものです。ワタシはその契約に基づき,受任者(任意後見受任者)として,日々の生活のサポートを行っています。

生前事務委任契約とは,ご本人に十分な判断能力があるうちに,信頼できる家族や専門職に対して,財産管理や各種手続きなどを委任しておく契約です。将来,認知症などによって判断能力が低下した場合には,家庭裁判所への申立てにより任意後見契約へと移行し,さらに葬儀や納骨,行政手続きなどを行う死後事務委任契約を併せて締結することもあります。身寄りが少ない方や,将来に不安を感じている方にとって,大切な備えの一つといえる仕組みです。

ワタシの場合は,生前事務委任から死後事務委任までを含めた一連の契約を締結しており,「いつ,誰に連絡するのか」「葬儀や納骨をどのように行うのか」「亡くなられた後の私物や財産をどのように処分するのか」といった点についても,あらかじめ細かく打ち合わせを行っています。

これらの契約は,公証人が関与して作成される公正証書によって締結されます。公正証書は公的に保管・管理されるものであり,ご本人の意思を確実な形で残し,守ることができる点に大きな意義があります。

さて,昨日の面会でも,お願いされていた金額を通帳から払い戻し,これまで立て替えていた費用の精算を行いました。あわせて,気持ちばかりのお土産として,お好きだという甘いものを少しと,4月がお誕生日ということで,ささやかなプレゼントも持参しました。

そして今回は,もう一つ,とっておきのお土産がありました。その方はクロスワードパズルや数独がお好きで,熱心に問題を解かれ,雑誌の懸賞にも応募されています。なかなか当選するものではないのですが,数日前,ある出版社から「当選しました」との通知が届き,中に賞品が同封されていました。

きっと喜ばれるだろうと思いながらも,その表情を直接拝見したくて,あえて当日まで内緒にしておきました。お渡しした瞬間,予想どおり大変に喜んでくださり,「ああ,今日まで黙っていてよかった」と,ワタシ自身もとても嬉しい気持ちになりました。

ワタシの仕事は,金銭管理や役所・医療機関への対応といった事務的な側面が中心ではありますが,それだけではありません。こうした業務を適切に行うことはもちろんのこと,ご本人に少しでも喜んでいただけるような工夫を重ねること,そして一つ一つの用事についても,できる限りご本人の意向を踏まえ,納得していただける形で進めることを大切にしています。

それはワタシにとって大きなやりがいであり,同時に専門職としての矜持でもあります。

今月も面会時間の1時間は,楽しい会話であっという間に過ぎていきました。今回もご要望を伺い,来月またお邪魔するお約束をして,病院を後にしました。

いつものことながら,この仕事をしていて,いちばんの報酬だと感じるのは,面会の際に見せてくださるあの素敵な笑顔です。来月もまたその笑顔で迎えていただけるよう,これからも一つ一つの業務に誠実に向き合い,ベストを尽くしていきたいと思います。

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