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現金の重みと信頼の価値―行政書士としての仕事観―

ワタシたちは日々の生活の中で,お店で物を買う際に代金を支払います。支払い方法は現金に限らず,電子マネーやQRコード決済など多様化していますが,いずれにしても,多くの場合,代金は比較的速やかに販売者へ支払われる仕組みになっています。多少のタイムラグや手数料はあっても,「支払えばすぐに対価が届く」という安心感は,日常の取引を支える大きな要素です。

しかし,企業間取引,いわゆるB to Bの世界では事情が大きく異なります。現金での即時支払いに応じてくれるケースもありますが,中には手形による支払いが一般的な業界もあり,実際に現金化されるまでに3か月から6か月程度を要することも珍しくありません。売る側はできるだけ早く現金を受け取りたい,一方で買う側は支払いをできるだけ先に延ばしたいというのが,それぞれの自然な心理ではないでしょうか。

ワタシがかつて勤務していた東北電力では,電気という商品を提供し,その対価を支払期限までに現金でお支払いいただくのがルールです。一般家庭のお客さまから,大口のお客さまで電気料金が1億円を超えるような方まで,基本的な支払いの考え方は同じです。この仕組みは,事業の安定性を支える重要な基盤となっていました。

そして,行政書士の仕事においても,この「現金での支払い」という考え方は共通しています。ワタシの事務所では,請求書に「発行日から10日以内に指定口座へお支払いください」と明記しています。もちろん,継続的にご依頼をいただくお客さまについては,個別のご相談のうえで支払日を定める場合もありますが,基本は「決まった金額を,現金で決まった期日にお支払いいただく」というルールです。この当たり前のようでいて確実な仕組みは,本当にありがたいものだと感じています。

サラリーマン時代,ワタシは関係会社に出向し,エネルギー商品の販売に携わったことがあります。その商品は取り扱う事業者が極めて少なく,購入する側も限られる,いわば希少性と専門性の高いB to Bビジネスでした。ある日,紹介を受けて食品工場を訪問し,クリーンエネルギーとして当社商品の導入を検討いただくことになりました。

設備条件や導入環境について一通りの説明を受け,いよいよ契約条件の協議に入った際,先方の工場長から開口一番,「当社との取引は,支払いは6か月後の先付手形で行う」と提示されました。ワタシの所属していた会社では現金払いが原則であり,「6か月先の手形」という条件は想定外でした。ワタシは,「当社としては現金払いが原則であり,手形での取引には応じられない」と率直にお伝えしました。

結果として,支払い条件の折り合いはつかず,この取引は成立しませんでした。契約交渉というものは,双方の立場や優位性によって結論が左右されます。このケースでは,供給者が極めて限られているという点が大きく影響しました。仮に重油や軽油のように供給者が多数存在する商品であれば,供給側が条件を譲る場面もあり得ますが,当時ワタシが扱っていた商品は代替性が低く,条件面で無理に歩み寄る必要はなかったのです。

この経験は,現在の行政書士としての仕事にも通じるものがあります。行政書士は宮城県内だけでも多数存在し,厳しい競争の中で業務を行っています。その中で,受任のために報酬を引き下げるという選択をされる方もおられるでしょう。

しかし,ワタシは「価格」ではなく「価値」で選ばれる行政書士でありたいと考えています。もし「他の方はもっと安くやってくれる」と言われた場合には,「それであればその方にご依頼ください」とお伝えする覚悟を持ちたいと思っています。無理に価格で合わせるのではなく,自分の提供する仕事の質に自信を持つことこそが,長く信頼されるために必要な姿勢だと考えているからです。あくまでも,ワタシは仕事の質と信頼関係を重視する行政書士でいたいと思います

日々の業務を通じて,お客さまに「お願いしてよかった」と感じていただける仕事を積み重ねていくこと。その結果として,適正な報酬をきちんとお支払いいただける関係を築いていくこと。それがワタシの目指す行政書士の姿です。

現金のありがたさを改めて感じると同時に,その裏側にある「信頼」の重みを,これからも大切にしていきたいと思います。

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