空き家から新しい暮らしへ―行政書士としてできること
ワタシの南隣の家は,数年前に住んでいた方が亡くなり,しばらく空き家となっていました。ワタシの住む住宅団地は,ワタシの親の世代が入居した団地であり,いまや高齢化が進み,家と土地の所有者も代替わりを迎えています。空き家の発生は,いわば地域の必然的な流れでもあり,私の町内会でもこの家が「初めての空き家」となったことで,住民の皆さんが心配そうに見守っていました。
空き家は全国的にも深刻な社会問題です。老朽化による倒壊の危険,防犯や衛生上の不安,さらには地域の景観悪化など,放置すれば様々な弊害をもたらします。だからこそ,皆が心配しますし,早い段階からの対応が重要になります。
たまたま,この家のご遺族とつながりを持つ機会があり,ワタシは行政書士として,その家と土地の相続手続きを少しだけお手伝いさせていただきました。行政書士は不動産登記を扱うことはできませんが,相続人の確定や遺産分割協議書の作成など,相続の入り口部分でお手伝いをすることができます。今回もその役割を担い,ご遺族がスムーズに司法書士や不動産業者とつながれるようサポートしました。
その後,ご遺族から相続登記が完了した旨の連絡をいただき,「売却物件」の看板が掲示されたかと思っていたら,ほどなく,解体工事が始まり,更地となりました。そして先日,そこを新しく購入されたと思われる若いご夫婦が,小さなお子さんを連れてうれしそうに土地を眺めている姿を見かけました。敷地越しに軽く挨拶を交わしましたが,とても感じの良いご夫婦で,地域に新しい風が吹き込むようでとてもうれしく思いました。
仙台市でも空き家問題への取り組みが進められています。たとえば「空き家バンク」の制度や,解体・リフォームへの補助金制度など,空き家を放置するのではなく「活かす」方向に動かそうとする施策が整えられています。こうした制度を活用するためには,申請書類や契約関係の整理が必要となります。ここにこそ,行政書士が住民に寄り添ってお手伝いできる役割があるのです。
空き家問題は単なる不動産や相続の問題ではなく,地域社会の継続性そのものに関わるテーマです。ワタシは行政書士として,一件一件の空き家の背後にあるご家族の想いや歴史を尊重しつつ,地域が安心して次の世代へ引き継がれていくようなお手伝いをしていきたいと考えています。

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