信頼の上に成り立つ仕事――ドタキャンから学んだこと
ワタシは,先日,仕事をドタキャンされるという出来事を経験しました。
行政書士として日々多様なお客さまと接していますが,今回の一件は改めて「信頼関係の大切さ」を痛感させられるものでした。
ある日,見知らぬ方から突然お電話をいただき,とある業務について依頼の打診がありました。お住まいは遠方とのこと。「なぜワタシに?」という疑問はありましたが,特にお断りする理由もなく,お話を伺うことにしました。すると,「ちょうど今日,仙台にいるので,これからお願いできませんか?」とのご要望。かなり急なご依頼でしたが,「あいはら行政書士事務所は24時間365日闘います」というキャッチフレーズを掲げている以上,お客さまのご希望を無碍に断るわけにもいきません。
ご指定いただいたのは2時間後の18時30分。急いで資料を準備し,お待ちしていましたが,約束の時間になってもお客さまは現れません。ようやく連絡が来たのは,予定時刻を過ぎてからで「今日は行けなくなったので日を改めたい」とのこと。理由についての詳しい説明はなく,こちらが,「では,いつにしますか?」と尋ねても「今日は行けない」「日を改めて」と繰り返すばかりでした。
仕事をしていれば,急な予定変更やキャンセルは珍しいことではありません。やむを得ない事情もあるでしょう。しかし,本当にやむを得ない事情があるのならば,普通は,「それでは明日」「今度の日曜日にお願いできないか」といった具体的な代替案を出してくるものです。そういった提案が一切なく,「今日は無理」の一点張りであれば,「何らかの理由で会うのをやめたい」と考えているのだろうと思わざるを得ません。
行政書士の仕事は,お客さまとの信頼関係があってこそ成り立つものです。委任者と受任者,双方の信頼がなければ,良い仕事はできません。今回のやり取りを通じて,ワタシはこの方と信頼関係を築くことは難しいと判断し,こちらから次回の面談をお断りしました。
おそらく,この方は他の行政書士にも同じような依頼をして,より安く仕事をしてくれる人を探していたのかもしれません。あるいは,急に気が変わっただけかもしれません。しかし,理由が何であれ,ワタシにとってはどうでも良いことです。もし仮にこのまま仕事を受けていたとしても,後からさまざまな注文がついたり,振り回されたりする可能性が高かったでしょう。そう考えると,この段階でお断りしたのは,今後のトラブルを未然に防ぐ意味でも適切な判断だったと感じています。
お客さまには行政書士を選ぶ権利がありますが,ワタシにも「信頼できる方とだけ仕事をする」という選択肢があります。後から冷静に振り返ると,電話のやりとりの中にも,曖昧な言い回しや気になる言動がいくつもありました。こういった「小さな違和感」を見逃さず,判断材料として活かしていく力も,今後ますます必要になってくると痛感しています。
最後に,今回お電話をくださった方にも「良い行政書士が見つかりますように」と心の中でそっと願いました。今回の経験は,ワタシにとって大きな学びとなりました。信頼の上に成り立つ仕事を,これからも大切にしていきたいと思います。

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