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面倒だけど大切なこと ― 統計調査に答えて感じた日本らしさ

先月,国土交通省から「全国道路・街路交通情勢調査 自動車起終点調査~自動車の利用実態に関する調査~のお願い」というハガキが届きました。

「あなたは標記調査の対象者に選ばれました」とあり,「後日,調査票を送付するので協力してほしい」とのこと。ほどなくして分厚い調査票が郵送されてきました。

調査票はマークシート形式で,インターネット回答も可能とのこと。内容は,国が指定する10月中の2日間(たとえば10月1日と5日など)について,回答者が所有しているすべての車を対象に,利用した人の属性(年齢・性別・職業)から,出発時刻,所要時間,移動距離,目的地,利用した駐車場の有無や有料・無料の別までを詳細に記入するというものです。

ワタシは車を2台所有していますが,指定された2日間のうち,一日は1台でジムと駅前の家電量販店に出かけただけ,もう一台は終日ガレージの中。もう一日は東京出張で不在,妻も運転なし。統計的にはなんとも地味なサンプルになってしまい,調査担当者には少々申し訳ない気持ちになりました。

それでも,たった1台・1日の移動であっても,調査票を埋めるのはなかなかの労力です。移動時間を思い出し,距離を推定し,駐車方法まで確認する――地味な作業ですが,ワタシはこうした調査はきちんと回答する主義なので,少し前に行われた国勢調査同様,今回も真面目に記入を終えました。正直なところ「面倒くさいなあ」というのが実感です。

調査票には「統計法に基づく調査」と記されており,この一文が気になって調べてみました。統計法に基づく調査には「基幹統計調査」と「一般統計調査」があり,国勢調査のような基幹統計調査は回答義務があり,拒否すれば罰則の対象になります。一方,今回のような一般統計調査は協力任意で,回答しなくても処罰されることはありません。

それでも,ワタシは日本国民として,法令に基づき求められた調査には誠実に協力したいと思っています。こうした統計調査は,私たちの暮らしを俯瞰的に把握し,今後の道路整備や交通政策,地域計画などの貴重な基礎資料となるものです。つまり,「国の正確な姿を写し取る鏡」であり,「未来の政策を設計するための羅針盤」ともいえます。

とはいえ,このような緻密で手間のかかる調査に,粘り強く協力する国民がこれほど多い国は,日本以外にはそう多くないのではないでしょうか。他の国でも指呼のような調査をしたら、どのような結果になるかについて少しだけ興味があります。

法に基づき,制度として整え,国民が信頼して応じる――これもまた日本社会のひとつの成熟の形だと思います。

行政書士として日々法の文書を扱うワタシにとって,「法に基づく協力」という営みの大切さを改めて感じた出来事でした。

たとえ地味で面倒な作業であっても,それが「国の未来を支える一筆」になるのだと思意,これからも協力して行きたいと思います。

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