手紙を書くという仕事 ― 行政書士という仕事の原点
ワタシは行政書士であり,海事代理士でもありますが,少し変わった仕事もしています。それが「手紙の代筆」です。おそらく,同業の方々の中でもあまり手がけていない分野ではないかと思います。
手紙を書くことは,ワタシにとって特技のひとつです。子供の頃から,親戚などからお祝いをいただいた時には必ず礼状を書くよう厳しく躾けられました。当時は,親の横で何度も書き直しをさせられ,正直つらい思いもしましたが,その経験が活きています。礼儀正しいフォーマルな文面から,気軽な近況報告まで,幅広く対応できるようになったのは,子供の頃からの積み重ねだと思います。当時は親を恨んでいましたが,今となっては,とても感謝しています。
現代では電話やメールが主流となり,手紙を書く機会は減ってしまいました。しかし,だからこそ,手紙には特別な価値があると思います。お礼状やご挨拶など,かしこまった場面では,手紙は今でも不可欠な存在です。そして,手紙を受け取る側にとっては,まるで「宝物」をもらったような感覚になることもあります。心を込めた一通は,何よりも強いコミュニケーションツールになるのです。
行政書士の起源は,江戸時代に読み書きができない人の代わりに手紙を代筆したという説もあります。そう考えると,ワタシが行っている「手紙の代筆」は,行政書士の原点なのかもしれません。
最近いただいたご依頼は,ご高齢のお父さまが怪我で入院された際のお礼状の代筆でした。お見舞いをくださった方々への感謝の気持ちを伝えるための手紙です。さらに,お父さまと同じ趣味のサークルに所属していた方からの励ましのお手紙への返信も含まれていました。「急ぎたい」とのご希望で,午前中にお話を伺い,一度お引き取りいただいた後,手紙を作成し,修正を加え,当日の14時にはお渡しすることができました。お父さまの怪我や入院に加え,ご自身のお仕事の負担もあり,手紙を書く余裕がなかったとのことで,何度もお礼を言われました。
手紙の代筆は,一見すると「そんな仕事,需要があるの?」と思われるかもしれません。しかし,実際にはさまざまな場面で必要とされていることを実感しています。特に年配の方々は,今でも直筆で手紙を書かれることが多く,その達筆ぶりには驚かされます。ただ,ワープロで作成した手紙でも,署名だけ手書きにすれば,儀礼上は十分に通用すると考えています。ワタシ自身の字はお世辞にも美しいとは言えないので,文明の利器ワープロの存在には心から感謝しています。
ビジネスとは異なり,手紙の便箋は,今でもB5サイズが主流で,封筒は長形4号が一般的です。送り先が年配の方の場合には,18ポイント程度の大きめのフォントを使い,教科書体など目に優しい書体を選ぶようにしています。封筒の宛名書きをご希望される場合には,印刷した封筒に季節感のある美しい切手を貼ってお渡ししています。通常の切手ではなく,四季折々に発行される記念切手を選ぶことで,手紙の雰囲気をより豊かに演出しています。近隣の方には手渡しで,遠方の方にはコンビニプリントを活用して成果物をお届けしています。
「手紙の代筆なんて需要がなさそう」と思われがちですが,実際には「ここぞ」という場面でこそ,手紙の力が発揮されるのです。皆さまも,日々の暮らしの中で手紙をうまく活用してみてはいかがでしょうか。
あいはら行政書士事務所では,当日渡しの特急便から,納期に応じた各種メニューをご用意しております。お気軽にご相談ください。

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