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遺言書と遺書,そしてエンディングノート

昨日,遺言書の話をしましたので,今日は遺言書とよく似た遺書の話をしたいと思います。

「遺言書」と「遺書」。言葉は似ていますが,実際には役割が大きく異なります。

「遺言書」は,法律に基づいた正式な文書で,財産の承継先や方法を定めるものです。形式が厳格に決められており,書き方を誤ると無効になることもあります。相続という大切な手続きに直結するため,公正証書遺言をはじめとする確実な方法で残すことが必要です。

一方,「遺書」は法的な効力を持つものではなく,亡くなる前に家族や友人に宛てた心のメッセージです。感謝の気持ちや人生観を伝えることができ,遺された人にとって大切な手紙になります。ただし,「長男に自宅を譲る」といった財産の指定を書いても,相続の効力は生じません。

そして,最近関心を集めているのが「エンディングノート」です。こちらは自分の人生の振り返りや,大切な人へのメッセージ,葬儀やお墓の希望,さらには医療や介護についての希望など,死後に伝えたい思いや暮らしに関する情報を自由に書き残すことができます。法的な拘束力はありませんが,「自分の想いを整理して記録する」点でとても意義深いものです。残された家族にとっても,生前の希望を知る手がかりとなり,大きな助けになります。

行政書士として感じるのは,遺言書・遺書・エンディングノートをうまく組み合わせることが大切だということです。遺言書は「財産に関する約束」,遺書は「心のメッセージ」,そしてエンディングノートは「人生の記録と希望」。それぞれ役割は異なりますが,いずれも大切な人への“最後の贈り物”になるのです。

行政書士は,法的に有効な遺言書の作成をお手伝いするだけでなく,エンディングノートの書き方や活用法についてもアドバイスできます。「どこまで書けばいいのだろう」「家族にどう伝えればいいのだろう」と迷うとき,身近な相談相手として力になれるはずです。

遺言書,遺書,エンディングノート。三つの違いを知り,それぞれをうまく使い分けることで,ご自身の想いをより豊かに残すことができます。この機会に,自分らしい未来の準備について,考えてみてはいかがでしょうか。

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